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 マーコの対談 素敵な人とのお話

対談集 〜桜サロン〜
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05.8.3 up

陶芸・彫刻・工作などの ものづくり

藤本 均定成 

今回初めて『桜サロン』のゲストに陶芸家(こうお呼びしていいのか・・・)の方をお招きしました。
藤本 均定成氏・・・実は陶芸家・石の彫刻家・現代アーティスト・工作者(物を作る人)・・・・・いろんな顔を持たれている。今回はそんな藤本氏のお話、そして仕事の場・生活の場・発信の場・・・にお邪魔しました。
先生とのお話しは・・・・実は、奥様のお店・・・ステキなレストランでさせていただきました。手狭になったアトリエに少し手を加えてはじめられた隠れ家レストラン。飛び切りのお料理に心もおなかも満腹・・・・。ご夫婦のあり方についてステキなお話も聞かせていただけました。


只今実験中

マーコ

センセイが陶芸に目覚めたのは何時頃なんですか?

藤本

それはないですね。(笑)まだ目覚められないんだ。(笑)
陶芸って言うのはどうも僕の世界じゃないんだなあ・・・、陶芸って言うのは極めなくてはいけない気がするんだ。どうも僕は極めるタイプじゃないんだね。ひとつの社会で極めるよりも、新しいことに出会うのが好きなんだ。

僕は社会には大きく分けて、『極める人間』と『発見する人間』がいると思うんだ。僕自身、職人にも芸術家にもなりたくない。作るのが好きなだけなんだ・・・。
だけど世間はどこかのジャンルに属してそれを極めてくれと要求するんだよね・・・・、僕はそれとは対抗していて・・・・。
焼き物を作ってそれで生活をしていることは確かなんだけど・・・ジャンル化されないでいつまでやれるか試していてただいま実験中なんです。(笑)

芸術家だとかアーティストだとか陶芸家だとか・・・・言われるようになった時点で僕の実験は終わりということ。極めるとすればそこを極めたいね。(笑)

たぶん・・・・。少年の頃・・・工作少年だった人っていっぱいいると思う。だけどある人はすごい芸術家になったり、ある人は銀行マンになったりと分かれていくんだけど・・・、僕はそんな風にうまくジャンル分けするチャンスを失って、いろんな「モノ」を作り続けながらそれでもなんとなくうまく生きて来れた・・・・という感じかなぁ・・・。
経済の社会では焼き物で生活する時はやはり陶芸家であるわけで、石の彫刻の時は芸術家である。経済の中に溶け込むためには否定できない。当然のこと。

・・・・僕はいわゆる作家じゃない。
土も素材だけど今は僕にとっては、経済とか社会性も素材、そして、工芸とか芸術と言う世界の取り決めも素材。作家になってしまうとその世界に入ってしまうでしょ。だから、作家にならないでその社会と距離をとっていないと芸術とか工芸と言う世界の制度を素材に出来ない。究極は自分の住む世の中の制度そのものを素材にしたいんだね。

『作品歴展』近代美術ギャラリー

藤本

去年銀座の近代美術ギャラリーで個展をしたんだけど・・・・。
声がかかった時に、時間が少なかったせいもあって作品がなくて。それでどうしようかなあと思って、新作品がなくても出来る展覧会を考え、今まで買ってくださった方から作品を借りてくるという作品展をしました。
鍋もあれば現代彫刻もある。小さくて手で持ってこられるような作品ばかりを借りてきて、『作品歴展』というのをやった。いつ買われて、その作品がいつ持ち主と一緒に引越しをして・・・なんて、作品の買われた後の歴史を綴ってみたんだね。
ある作品はすごかった。那珂川洪水の時に被害にあった喫茶店の中で作品が泳いでいたというようなものもあったりね。作品の歴史を探ると面白かったね。


制度とか、かかわっている社会そのものを素材にもしたいんだ。普通に言われる『作品』だけが僕の『作品』ではないんだ。
類例のないことを見たりするのが好きなんだ。いろんな人が色んな形でかかわってくれ形になることもいい。美しいフォルムを作ることは他の人の仕事で、僕は精神を形にすることに興味があるんだね。

 

人間が人間らしく物作りできるもの・・・

藤本

よく、僕のところに焼き物を作りたいと若い人や定年になった熟年の方が来ます。
・・・・焼き物のいい所はね、技術がある人もない人も同様にむかえてくれる素材なんだ。焼き物は技術がなくても指で押さえれば形が出来ていくからね。焼き物は一番人間が人間らしく形作れるものだから・・・原点なんだね。

 

マーコ

本当にそうですよね。今の時代人間が人間らしく生きる作業ってある種分業されていて、生活していくため(お金を稼ぐため)にやらなくてはいけないことに追われている・・・。だから技術とか美を追求するとかにこだわらないで自由に作ることをやらずに生きているじゃないですか。
定年になって・・・、生活のために時間を使わないで良い状況になった時・・・、人間らしさを取り戻して死んでいきたい・・・・みたいな思いがあるのかも知れないですよね。それで焼き物つくりをしたいと思いはじめるのかも・・・・


藤本

そうだね・・・。分業化された中で日本のためにがんばっていた人間が、役目を終わった時にその分業化された時期に置き去りにしていたものを取り戻す時間なんだろうね。

生活するために必要なものは本来は自分たちで作ってきたんだ。分業化されてそれらを極める職人達がその役割を担うようになって、職人でない人間は物を作れないと思いだしたんだね・・・・。
家を作れないと思い込んでいるから作れないんだ。本来は全部作ってた。


辞典

藤本

今、自辞典というのを作っていてね・・・・自分の言葉で・・・
ミニコミ誌のコーナーになってるんだけどね。無名で投稿しているスタイルにしているんだ。(笑)
すると、他の人もたまに投稿してくれる。面白いでしょ。

 

マーコ

ホント面白い・・・・先生の発想って・・・色々考えさせられますね・・・・

藤本氏『自辞典』の一部 ご紹介

作家

普通の人以上に他人に自分の考え、存在を表現することを好み、そして、そのことが文化として保護され、職業としている人種。

知識

多く持てば持つほど安心できるもの。物を支配下に置き、人間中心の世界を作るための道具。知性と混同されることが多いが、違うものである。

美術館

石ころ1つが宝石に見える場所。

趣味

人間が人間らしく動くことが少なくなればなるほど、人間性を取り戻すために必要な道具。趣味を持たない人ほど人間らしく働いている可能性が多い。

時計

人それぞれの時を組織的に管理する道具。

優柔不断

何事にも柔軟に決め込まないで対応できる潜在能力のこと。(どんな人でも少しは持っている能力であるが、悪いこととされているゆえ、大切に利用されない。)

もの忘れ

情報過多の時代に頭の中を自然に整理する能力。天才に多い特性。思考する能力が強いと、記憶する能力が低下することがある。

皮肉

ものごとを多面的に考えたり感じたりできること。


あるようで存在しないもの。(面も大きさも長さももたない点のようなもの。)

先生

工芸品・芸術品の流通時に使用する言葉。画廊等で作家の名前を忘れた時に有効に使える言葉。

『家庭料理 ふじもと』
奥様 錦子さんの手料理のお店

マーコ

今テーブルに並んでいる食器類は全部先生の作品なんですか?

藤本

僕の作品は少し・・・。彼女が好きなものを選んで集めたものですね。
そんなセコイ事したくないんだって・・・自分の家のものを使う、みたいな・・・・(笑)


僕はあまり関与していないんだ・・・こっちは。
これはね、元々僕が焼き物作っていたアトリエなんです。
・・・このアトリエも僕が作ったんだけどね。仕事場だったんだけど、狭くなったので今のアトリエに移って、その後、この壁を作ってあげて・・・。壁を作っただけでこんな空間になってしまったんだ。

 

マーコ

へえ・・・ステキですね・・・先生のアトリエだったんだ・・・・

藤本

ほとんど変えていないんだよ。だけど、こうなってみたら、アトリエとしてではなく、こうなるために建てられたんじゃないかなあというくらいの空間になったね。
僕はね・・・常に変化していくことが大好きなんだ・・・自分の中で完成するということがないから・・・そんな気がするから・・・・


物を作って生活できればいい。焼き物もしているし、石の彫刻もしていたり・・・家も作ったり・・・ていう人・・・。たまたま焼き物は食える(生活できる)から・・・、たまたま陶芸家という窓口をお借りして物を作るけど・・・・本当は物を作る事全てに興味がある・・・・。

 

マーコ

先生のアトリエもこのレストランも大谷石をふんだんに使われているんですが・・・・これは何かこだわりがあられるんですか?

藤本

大谷石はね・・・・あったかいんですよね。大谷石には、不思議な効果があって・・・。

マーコ

芦屋にアメリカの建築家でフランクロイド・ライトという建築家が立てた大谷石の建築物が残っていて・・・、私すごく好きなんですよね・・・。

 

藤本

そうそう、帝国ホテルも設計した人だね。この建築家は大谷石をものすごく使うんだ。大谷石というのは、冷蔵庫より物が新鮮に保てるからね。素晴らしいんだ。
実は近所におじいちゃんがいて・・・、大谷石を扱ったことがあるって言うからアトリエ作るのを手伝ってもらって・・・。その時、そのおじいさんがぽそっと「おれ、帝国ホテルやったんだよ。」って言ってね。びっくりしたよ。

そのおじいさんが言うには、一人外国人が居て一番硬い使いづらい石を使わされてみんなが文句を言っていたってね。その外国人がきっとライトだろうね。

 

マーコ

へえ・・・すごいおじいちゃん。ライトと仕事してたんだ・・・・

マーコ

奥様は元々お料理関係のお仕事をされていたんですか?

藤本

いや・・織物をしていたんだ。でも、元々ものすごく料理が好きでね、とにかく人に食べさせることが好きでね・・・。それでずっと友達呼んでは食べてもらうようなことをしていたんだけど・・・。
みんながお金をとったほうがいい・・ってことになって、ちょうどアトリエが空いたので、・・・ココをレストランにしたんだ・・・まだ
2年くらいなんだけどね。

 

マーコ

ほんとにステキなレストランですね・・・取材なんかはないですか?

藤本

ないねえ・・・、そういえば明日あるか・・・何か婦人雑誌だね・・・・。(※註 『スローリビング:summer2005 vol.1(主婦の友)』)

夫婦のあり方だって出世魚のようなもんで・・・変化していけばいいんだ

マーコ

奥様と知り合った時、奥様は織物をされていたんですか?

藤本

そうだね・・・していたね。

マーコ

なんだかかっこいいですね・・・・。アーティスト同士惹かれあってって感じですね・・・

藤本

そんなにかっこいいもんじゃないんだよ・・・・。僕達はもう夫婦というよりも一番親しい友人だね、と話しすることがあるんだね。僕達は『親友』のような関係なんだ。

 

マーコ

『親友』ですか。かっこいいなあ・・・・

藤本

夫婦のあり方だって出世魚のようなもんで・・・変化していけばいいんだ。
たとえば、子孫繁栄という役割が必要な時期であれば強烈な結びつきがあり
その役割を終えたときには・・・また新しい役割が・・
ずっと強烈な結びつきの役割を持ち続けなければいけないということもおかしな話・・・・

マーコ

考え方かわりそう・・・・
ほんとにステキな場所・・・・ステキなお二人・・・・『豊か』というのはこういうことなのかなあ・・・・・

 

錦子さん
(奥様)

藤本の言葉にだまされないようにしてね。(笑)

藤本

親友でも悪友の意見だね。(笑)

 

大谷石倉庫を改造し続けるプロジェクト・・・・

カフェ&ギャラリースペース。『変化し続ける』がテーマ。
プロジェクトの期限は飽きるまでとのこと。

直火耐熱食器

藤本氏は、1990年以来耐熱食器に興味を持たれ創作され続けてきた。2001年より『加賀たいちの直火の器』として、工芸品ではなく日常の食器として使えるものを目指して、工房で作られている。

(工房で品定め・・・どれにしようかな・・)

※マーコ:レストランで使われていたコーヒーサーバーがあまりにもかわいくて・・・工房で自宅用に購入しちゃいました。(^^

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『家庭料理 ふじもと』
〒309-1625
茨城県笠間市来栖2638-70
Tel&Fax;0296-72-7242
営業;金土日 11:30〜14:00
         17:30〜20:00
※要予約(三日前まで)
一人;3,000円


藤本氏のアトリエ


対談を終えて マーコのつぶやき・・・

この日は、お昼前にお伺いし、レストラン・アトリエ・石倉庫(ギャラリー&カフェ)を見せていただきました。普段自分が生活している環境とは別世界・・・・見るもの全てが新鮮で刺激的でした。
藤本氏の物をとらえる視点・考え方・・・何もかもが目からうろこが落ちることばかりでした。お話をさせていただきながら自分はこんなにも一方向からしか物を見ていなかったのかと愕然としました。
人間が人間らしくあるために・・・・そして、自分が自分らしくあるために・・・その部分をとことん追求しておられる・・・。そんな様が今の社会にどっぷりつかりきって今の状況に何の疑問も持たないで生きている人間に、まるで「ちょっと考えてごらんよ。」とささやきかけておられるように感じられました。


今回、レストランでおもてなしをして下さった奥様・・・・本当にステキでした。なんてきれいな笑顔の方なんだろう・・・・こんな風に年を重ねていきたい・・・自分がぼんやり描いている憧れの生活がここにありました。『豊か』というのはこういうことを言うのかなあ・・・なんて。

藤本氏のお話、奥様のレストランでのおもてなし、夫婦のあり方・・・今回の取材はまさに『大人の遠足』。私自身の中にたっぷりたっぷり栄養をもらえた一日でした。

 


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